藺草 祐輔のAmazonバブル到来セミナー【相談タイム・豪華特典付】 効果についてレビュー
Amazonバブル到来セミナー【相談タイム・豪華特典付】の
藺草 祐輔さんがネット掲示板で
かなり話題になってるみたいだよ。
あの掲示板でもスレも何個か立ってるみたい
出典元:お笑いナタリー
ウエストランド井口と構成作家・飯塚大悟が毎月のお笑い界の出来事を勝手に振り返る連載「今月のお笑い」。今回はゲストにマヂカルラブリー・野田クリスタルを迎えて「M-1グランプリ2024」についてたっぷりと語ったほか、お笑い界が抱えていそうな諸問題の解決に挑戦してみた様子をお届けする。
【画像】左からウエストランド井口、マヂカルラブリー・野田クリスタル、作家・飯塚大悟(他6件)
構成 / 狩野有理
ヘッダーイラスト / 清野とおる
※取材は12月30日に公開イベント「ライブ!!今月のお笑い3」として実施。
■ 「M-1」敗者復活戦審査員の立ち位置
──野田さんは前回から引き続き、そして井口さんは今回初めて「M-1」敗者復活戦の審査員を務めました。
井口 実は去年から3つくらい審査員のオファーが来ていたんですよ。スケジュールの都合でできなかったものもあるんですけど。「M-1」の日は何かあるかもしれないと思ってもともと空けていたし、お世話にもなっているのでやらせてもらいました。(爆笑問題)太田さんが審査員をやらない主義だからどうなんだろうという思いもあったんですけど、1回やってみたら、やってもいいのかなと思いましたね。
飯塚 この連載きっかけで井口くんの“審査員練習ライブ”をやっておいたかいがあったね。
井口 いやいや、何一つ生きてないです(笑)。しかも、あのライブは配信なかったんですよね? あのライブの僕の採点ほど神がかってるものはなかったのに! だから、今後も審査員やっていこうかなと思いましたよ。僕がいかに考えているかをもっと伝えていかないと。みんなナメてるんですよ、僕のこと。(令和ロマンの)くるま、くるま、くるま、くるまで。くるまより僕を信じろよ!
──初審査の手応えは?
井口 会場にいると、やっぱり敗者復活戦を勝ち上がった人に決勝で活躍してほしいっていう気持ちになるんですけど、自分が「この組が行くんじゃないか」と思ってもお客さん投票で勝ち残れなくて、そこはもどかしい部分でしたね。一応自分の中でひとつ決めていたのは、負けた人のいいところを言うこと。勝った組は勝った段階ですごいことは伝わるから、なるべく負けた側のコメントをするようにしていました。あとは、勝敗じゃないところで変なことがあったら言おうと思っていましたね。
野田 審査員コメントってめっちゃ難しくて、あの場では褒める以外できないんですよ。終わったあとにネタのダメ出ししても意味ないから。もしダメ出しするなら大会の前にするべきで。
井口 確かに。あと、勝ち残り方式だから、僕らが言った感想がその後も審査を続けなきゃいけないお客さんに影響しちゃう可能性があることを考えると、勝った人がどうよかったかは言えないんですよ。そもそも、敗者復活の審査の基準がよくわかんなくなってきちゃっているというか。「決勝に上がって優勝してくれるかも」という人なのか、「その場で一番ウケていた人」なのか、「自分が面白いと思った人」なのか。
野田 僕らがやるのは観客投票で選ばれた3組の中から最終の1組を選ぶ、という審査だから、しょうがないことだけどそこまでは感想を言いながらただ座っているだけの状態になるんですよね。やれることが少ない。例えば芸人審査員が選んだ1組も足した4組で最終投票するとか。
飯塚 でも、そうすると芸人審査員が選んだ1組が少し有利になる可能性もありますよね。観ている人が「芸人さんが選んだってことは面白いんだ」って影響されちゃうと思うので。
井口 芸人審査員も10%ずつくらい持って各投票に参加するとか? ……まあ、なんでもいいか! いろいろ考えてもしょせん敗者ですもんね! 大前提、負けてるんだから。
■ 豆鉄砲とスタミナパンの新しさ
──人のネタをあまり見ないことでおなじみの井口さんですが、こうして敗者復活戦の21組を一挙に見てどうでしたか?
井口 けっこう面白いなと思いましたよ。ただ、敗者復活から決勝も含めて、言葉遊び的なボケがめっちゃ多いなと思いました。ヤーレンズが前回やった感じが今のトレンドになっているのか、既存の言葉をモジったボケというか、「こういう意味か!」となるタイプのネタが多かった気がします。
飯塚 全体的にボケの意図をツッコミでバラすネタも最近多い傾向にあるよね。
野田 ツッコミの権力が上がってきてますよね。例えばダンビラムーチョって、ツッコミのフニャオが「なんだその顔、蛾じゃねえか!」と言うじゃないですか。蛾かどうかは本来はボケが決めるはずだったんですけど、フニャオが「蛾じゃねえか!」とツッコんだあと、大原が「え、そうなの?」って言ってるんですよ。ツッコミに決められてるんです、蛾かどうかを(笑)。
井口 なんでそんなに理解がいいんだ?って思うツッコミがけっこうありました。ツッコミが全部瞬時にわかりすぎだろっていう。
飯塚 敗者復活で気になった組はいた?
井口 豆鉄砲は新しいことやってるなと思いました。あの論理のまま押し切るのって大変だから。まあ、よくよく聞いたらけっこうみんなご存知のネタだったみたいですね。この2年くらいどの賞レースも一切見てなかったので、実はオール初見だったんですよ。だからこそ一番審査員に向いていたんですけど(笑)。
飯塚 でも、豆鉄砲みたいに1人の主張だけでネタを構築できるのって確かにすごいと思う。やりたくてもできないネタ。
野田 胡散臭さもあるし、噛み合ってましたよね。
井口 あとは、散々言われていると思いますけどスタミナパン。「やってみたいから練習してみよう」の形って、付き合うほうがどこかで折れざるをえないけど、トシダが最後まで一切折れずに、「やらねえよ!」のままやり切った。どこかで矛盾が生じてもおかしくないのに、矛盾を感じさせることなくやり切るっていうのは新しいし、すごいことをやってるなと思いました。
飯塚 新しすぎて、新しさがお客さんに伝わってないかもっていうくらい成立してた。普通はコントに入るか、完全に止めるかどっちかだけど、トシダさんはコントに片足つっこみながらずっと「やらねえよ!」って言ってた。
井口 僕らが若手の頃ってメタ系も多かったんですよ。アルコ&ピースの「忍者」みたいな。そういう形でもなく、コントに入る奴と「やらない」っていうスタンスのままの奴で4分やり切るのはすごかったです。
飯塚 奇をてらっているわけでもないしね。麻婆さんがキャバ嬢をやるコントに、前向きに入っていくほうがあり得ないわけで。トシダさんの「お前がキャバ嬢として来たら嫌だよ」っていうリアクションが本来正しいから、よりリアルな関係性の掛け合いになってる。
野田 でも、最近はコントインしてからすっかり戻らなくなりましたよね。僕らも戻らないけど、けっこうそれって豪快な技じゃないですか。1回ボケたらマイクの前に戻って「もう1回やってみよう」を繰り返すものだったのが、今はコントから戻るほうが珍しくなってる。
■ どのネタやるのか問題
井口 ひつじねいりは、この並び(Cブロックのラスト)で考えたら準決勝で次点くらいの順位だったかもしれないと思うと、1%差で負けましたけど、もしブロックで勝ち上がってたらどうなっていたのかなと思います。
飯塚 テレビで見ていたレベルの体感だけど、豆鉄砲やひつじねいりのネタはけっこう名作としてお笑い好きからも知られていて、そのせいか、ちょっとウケが少ない感じがした。
野田 ひつじねいりはもっと票入るかなと思いましたね。
井口 準決勝とは違うネタをやったわけですけど、それがどう出たのか。僕は準決勝のネタのほうがウケていた気がしますけど。
飯塚 「準決勝でやったネタを敗者復活戦でもやるのか問題」はあるよね。ひつじねいりから井口くんに「ネタどうしたらいいですか?」っていう相談はなかったの?(※)
井口 誰もなんにも相談してこないです。
飯塚 ママタルトは?
井口 ママタルトも1つも聞いてこない。
野田 全然リスペクトされてないなあ(笑)。
※編集部注:ひつじねいりもママタルトもウエストランドを中心とする新ネタライブ「漫才工房」メンバー。井口が工房長なのだが……。
飯塚 「敗者復活戦のネタを決勝でやるか問題」についてはどうですか?
野田 通常の精神を持っていたら変えますよね。「さっきマンキンでやってたのになあ」って思われるのが恥ずかしいから。
井口 「M-1」が巨大コンテンツになっていて、敗者復活から注目している人も多いから、全国の人に別の2本を見せたいっていう考えもあるでしょうしね。
野田 あと「来年に残すか問題」。毎年最強の2本ができるかどうかも限らないから、一応保険としてやらないっていう選択肢もある。
井口 でも僕は基本、前年のネタをやるっていう感覚がないので、その1年のネタで勝負してほしいです。
野田 えらいなあ。
井口 そうなんですよ、えらいんですよ。僕は毎年新ネタ作ってるのに誰も評価してくれない。僕こそ和牛なのに! こんなにいろんな形でネタを作り続けて、和牛より和牛なんだから!
野田 和牛より和牛は、もう(ウシの)和牛なんじゃないの?
井口 もうそうですよ、熟成肉なのに(笑)。
野田 あと思うのは、決勝と予選は違うっていうことをみんな自覚しないといけない。ファンも含めて。予選やライブで見て、「あのネタやればいいのに」とかファンは思うかもしれないけど、決勝は予選やライブとまるで物が違う。こればっかりは本人が後悔しないように、本人が決めたほうが絶対いいです。他人がごちゃごちゃ言わないほうがいい。自分の肌感覚で挑戦して失敗しないと、反省できない。1回決勝を経験すればわかるから、照準を合わせられる芸人なら次は大丈夫だと思いますね。
■ 東京お笑いは“脱線”しない
野田 これは意見が分かれると思うんですけど、「脱線してもいいのか問題」。めちゃくちゃやっている芸人ほど脱線しないんですよ。トム・ブラウンとか、ダンビラムーチョは1回も脱線しない。僕は脱線は、ネタに対して不真面目だなと思っちゃうんです。本筋で勝負したいから。でもなんとなく関西漫才って脱線してもいいニュアンスがありますよね。
飯塚 インディアンスは脱線しまくることが味になってるタイプ。
野田 僕は東京お笑いだから、本筋が1つあってそこから飛びたい。
井口 ダンビラムーチョは去年より断然面白かったです。勝ち上がるかなと思いましたけど。
──次に登場した金魚番長に敗れました。
野田 ダンビラムーチョはめちゃめちゃ面白かった。でも金魚番長も面白かったし、「金魚番長が面白かった」ってちゃんと会場のみんなに伝わったのがよかった。けっこう難しいネタだったと思うけど、ちゃんと票が入った。
──井口さんの思う「決勝で活躍してくれそう」なのはどういうコンビなんですか?
井口 サンドウィッチマンさんのときみたいに、無名な人がバーンと行くのが勝ち筋なのかなと。無名で、なおかつ見たことないタイプのネタ。僕はけっこうそこを重要視して見ていました。
野田 なんか1個仕掛けがあるとか。
井口 そうですね。例えばバッテリィズみたいなコンビが敗者復活戦から決勝に行っていたらかき乱していたと思います。本当にギリギリまで悩んで、最終的には「もっとすごいネタがあると信じたい!」っていうところで決めましたね。
■ 順番を超越した令和ロマンの圧倒的優勝
──決勝の話に移りましょう。
飯塚 みんな思ったことだと思いますけど、笑神籤で最初に令和ロマンが出た瞬間に「優勝しちゃうかも」と思いました。そういう星のもとに生まれたんだなって。観客もめちゃくちゃ沸いてたし、この勢いをほかの人たちがひっくり返すのはなかなか大変だから。
野田 トップだったことで純粋なネタの評価をするのが難しくなりましたよね。審査員コメントでは、ネタのこと以上に「トップだったこと」に触れられていましたし。
飯塚 たぶん、令和ロマンの1本目って面白くしすぎないようにあえてしてると思うんです。共感性を強くして、お客さんに問いかける感じで巻き込むスタイルにしているから、あの流れで出たらめちゃくちゃ沸く。すべて計算ずくではないと思うけど、それができたのはすごい。
野田 井口はどう? くるまの話だけど。
井口 まず1つ言っておきたいのは、くるまが前回の「M-1」で言っていた「トップバッターだったらこのネタをやる」みたいな話は、嘘です!
飯塚 (笑)。今年は2本しか用意してないって言ってたけどね。
井口 それはいいとして、何度も言っていますけど、やっぱりその場を掌握した人が勝つんですよ。僕らのときで言うと「人前でこんなに悪口言う人初めて見ました」とか、ほかの人が言い出した時点で勝ちというか。今年はどうやったって“令和ロマン対ほか”という構図になってしまう中、トップで出たことで完全に令和ロマンの空気になったし、僕も全然やっちゃうことだけど、そのあとに出てくるコンビが令和ロマンのつかみをイジったりして、よりその構図が際立った。ただ、それでも勝ちきるのは本当にすごいと思いますけどね。あれだけ面白いし一番ウケていたから、順番とかは超越していたと思います。最終決戦の順番がどうこう言ってる奴もいますけど、そんなもんバッテリィズがトップで令和ロマンがトリでやったら令和ロマンが全部かっさらって本当の覇者みたいになるだけだから! で、「ウエストランドは順番で優勝した」とか言いやがって。何番目でも勝ってるわ! こっちは6票獲ってるんだぞ、7分の6だぞ! すごい獲ってるんだから。
野田 今もその熱量で言えるんだ?(笑)
井口 だって今回のせいですごい蒸し返されてるんですよ。「ウエストランドは順番で優勝したからな」って。全然違うからな!
飯塚 じゃあもし、一番手令和ロマン、二番手ウエストランドだったら勝ててた?
井口 勝てますよ。だってすごかったですもん、(ウエストランドが優勝した2022年大会の)2本目の「R-1」のくだりの爆発力。
野田 え、まだ言う? 何年前の話?
井口 今でこそ似たようなことを言う奴が増えましたけど、僕がその祖ですからね? 祖のすごさ! 結局井口以前、井口以後に分かれるんですよ。「M-1」という大会で、まさかほかの大会のこと言うなんて誰も思わないじゃないですか。予選で1回もやってないネタを最後に持ってくるとかも含めて本当にすごいんだから。
飯塚 どのルートで行っても「井口がすごい」にたどり着くっていう芸なんですよ(笑)。
野田 ダラダラしゃべってたけど、結局令和ロマンが1位ってことでいいの?
井口 令和ロマンが1位です。順番関係なくいいネタを2本きっちり揃えた令和ロマンが優勝にふさわしかったと思います。
飯塚 あんなに「くるまが!」って噛みついてるのに、そこはちゃんと認めるんだ(笑)。
■ 努力家でモラルのある真空ジェシカ
井口 真空ジェシカの1本目も面白かったです。4年連続決勝に行っている中、今までで一番強いネタをここで出してきた。
野田 真空ジェシカってあんな感じなのに、商店街のネタをあれだけ仕上げて、本当に努力家。
飯塚 言葉遊び的な部分だったり、元ネタがあるボケが比較的多いイメージでしたけど、あの商店街の現場で起きていることの面白さにグッと寄せてきていましたよね。相当「M-1」に照準を合わせてきたんだろうし、だけど真空らしさは損なわずにやっているのが、まさに努力家だなと思いました。
野田 真空ジェシカじゃなかったら構成が変にきれいに見えてちょっとムカついてくるネタにも見えるんですけど、真空ジェシカがやると全然ムカつかないですよね。
飯塚 真空ジェシカが初めて決勝に行ったときの回を見返したら、ガクさんの感じが“戸惑いツッコミ“って感じでしたけど、今回は怯えている感じというか、演技の上手さが乗っかってて、ちょっとずつバージョンアップしているんだなと思いました。それと「NHKを、見る!」とかは、真空ジェシカの日頃の言動を知っている人からすると「NHK」って言った瞬間に「うわ、きっとやばいことを言うぞ」って身構えるから、より面白いんですよね。年間の活動によってフリが効いてる。
野田 ああいう目線って本当に正しい情報、正しいモラルを持った人じゃないとできないですからね。
飯塚 コンプライアンス芸人。
野田 コンプライアンス絶対守るから、スポンサーはどんどんついたほうがいい。
井口 問題を起こさなそうですよね。川北なんか一番真面目だから。
飯塚 僕は、一番笑ったのは真空ジェシカの2本目で。今まで見たことない感じがしました。バカすぎるというか(笑)。バカの方向性がマヂラブと近い気もしました。
野田 そうですね。ただ何が違うかって、マヂカルラブリーってネタに芸能人の名前を使わないんですよ。2人とも単純にあんまり芸能人を知らないから。知らんものでネタを作れないからファンタジーになってるっていう。
■ エバースかわいい
井口 エバースは会ったことないから絶対嫌な奴でつまんない奴だと勝手に思っていたんですけど(※)、面白かったです。けっこう好きでしたよ。どういう人なんですか? エバースって。
飯塚 ネタが面白いのはもちろんのこと、町田さんの人間性みたいなものが一発で伝わったのがすごいなって。「ヤンキー」とかそういうステレオタイプなキャラにするわけじゃなくて、しゃべり方とか風貌で「町田という人間」がみんなに一瞬で伝わって、それを面白がれるところに持って行けるのがすごいなと。
野田 雰囲気の話ですよね。豪快キャプテンのギャンブルゴリラもそうですけど、「こいつ面白いんだろうな」っていうのを匂わせてくる系ツッコミ。
井口 でも、僕はやっぱり会って対峙してからじゃないと判断したくないです。「ロンドンハーツ」(テレビ朝日)で対戦してみないと。「ロンハー」来いよ!(と、かかって来いポーズ)
野田 エバース、前に僕らの配信番組に来てくれたことがあったんだけど、すごい緊張してて。
井口 そうなんですか? それはかわいいなあ。
野田 そう。エバースかわいいんだよ。決勝進出者発表会見のときもそうだったけど、こっちがグッと行くと引くし、先輩への敬意を感じるから、エバースってけっこういいなあって思っちゃってます。人間的に好きなんですよね。
井口 それはいい話聞きました。それに比べてケビンスなんか堂々と歩いてますからね!(笑) 野田さんの話聞いたらエバースは好きになりました。この会がなかったら嫌いなまま年を越すところでしたよ。
※編集部注:井口は知り合っていない全芸人に対する警戒心が強いので、あしからず。
■ バッテリィズは善のウエストランド
井口 バッテリィズはエースが「アホ」と言われていますけど、そのアホなりの理屈が面白いわけですよね。共感を得るし、一瞬でみんなが好きになった。ルシファー(吉岡)さんと「オトステ」(ルシファー吉岡、ジグザグジギー池田と出演しているポッドキャスト番組)でも話していたんですけど、日本人ってピュアなキャラクターが核心を突いてくるのが好きじゃないですか。「裸の大将」とか「(男はつらいよの)寅さん」とか。そういう部分でグッとみんなの心を掴んだと思います。
飯塚 ギャルタレントが真面目なことを言うのもみんな好きだしね。バッテリィズは、“善のウエストランド”っていう感じがした。ウエストランドの「演劇のチケット代が高い」みたいなくだりをバッテリィズがやるとして、寺家さんが価格を言って、演劇のことを知らないエースさんが「高すぎるやろ!」ってなるのも成立すると思う。目線がピュアか、邪悪かの違いはあるけど(笑)。今回で全国の視聴者に“顔見せ”はできたから、今度から普通のネタにピュアを入れるとか、そのバランスで進化できそう。あと、平場の感じがネタからの地続きなのは強いですよね。
野田 確かに。モグライダーともしげだったら平場でああはならない(笑)。
井口 それは本当にそうです(笑)。好感度を欲しがるっていう悪さもありますから。
飯塚 マユリカは、あのちょっと自虐の入った平場の感じがもう少しネタにも反映されたら、新しいマユリカが見れるのかもとか思いました。
野田 平場が強すぎましたね。「これを言えばウケる」という言葉を思いついたときに、最悪それを言えなくてもいいと思ってる人は平場が強いと思うんですよ。でもやっぱり「M-1」となると「このボケ早く言わなきゃ」と焦る。マユリカはそれがない。別にどこでもチャンスがあると思えている人は強い。
井口 決勝に行ったことがあるとかテレビにたくさん出ているとかは強みになりますよね。「M-1」においては知られてない強みもあれば、知られている強みもある。
■ 自分の中で“先に進んだ”ネタ
井口 トム・ブラウンとママタルトはやるネタを知っていたんですよ。トム・ブラウンは大好きだし友達だし、ママタルトも仲間ですけど、正直、勝てないんじゃないかなと思っていて。
──なぜそう思ったんですか?
井口 僕はチャンピオンだからわかるんですよ、このネタでは勝てないって。
野田 道が見えるんだ?
井口 見えます(笑)。というのも、(決勝に)行けそうなときに行ききらないと、どうしても1年間ネタを磨くから、自分の中で進んだネタになって1歩とか半歩ズレてきちゃうんです。「M-1」決勝のお客さんって、「M-1」サポーターもいるけどそうじゃない観覧の人もいるんですよ。これは僕らが優勝した翌年の決勝にゲスト出演したときに、お客さんに「あなた誰なんですか?」って話しかけて聞いたので確かです。
野田 話しかけたんだ(笑)。
井口 そうです。これが真実です。くるまは本に「M-1のお客さんにネタバレしてウケない」って書いてましたけど、あんなのは大嘘! こっちは言質とってますからね。点数が伸びなかった人は、自分たちの中で先に行っちゃってるネタが会場に何割かいただろうライトなお客さんに合わなかったっていうことだと思います。いやあ、それにしてもママタルトの点数は低かった!(笑) 久々にあんなに銀色(80点台)を見ましたよ。
野田 銀色並んでたねー。マヂラブ以来の銀。
井口 でも、野田さんはそこから優勝しているわけじゃないですか。そのズレをアジャストすればいいだけだから、「ツッコミが長いのがダメ」とかはまったく気にしなくていい。
野田 打ち上げ配信でも話しましたけど、僕らは途中から「M-1」に寄せながらネタを作っていたんですよ。じゃないと決勝に上がれるイメージがなかったから。でもトム・ブラウンはそのままで決勝に返り咲いてそれはすごいことだと思う。
飯塚 僕もトム・ブラウン大好きですけど、「本当のお笑い好きはトム・ブラウンで笑う」とか「これぞ伝説だ!」みたいになりすぎてる風潮が気になっていて。「めちゃくちゃ変なことしてんなー」って単純に笑いたいのに。
井口 神格化されてますよね。
野田 ランジャタイも同じ現象が起きて、“天才地下芸人”みたいになっちゃったときはけっこうキツかったと思います。そもそもは、トム・ブラウンもランジャタイもクソスベリ芸人なわけじゃないですか(笑)。クソスベリ芸人として登場しないとフリがおかしくなってくる。
飯塚 その期待を崩すとしたら、予選でまったくやってない正統派漫才をいきなり決勝でやるしかないですよね。
■ お笑い界の諸問題、解決ならず!
井口 「R-1」の予選に今出ているんですけど、2回戦なんてお客さんが15人くらいしかいなくて、たとえ爆発的にウケてもあんまり広まらないんですよね。「M-1」はお客さんのレポが上がるじゃないですか。SとかAとかウケ具合を採点して。ルシファーさんとかピン芸人の人はやっぱり「R-1」に懸けているし、もっと重要なものになっていってほしいと思うんですけど。
飯塚 今はどの賞レースも「M-1」と比較されがちですけど、全然違う審査方法にするとか、まったく別の形にしたらどうなるんだろうなとは思う。
野田 僕は会場が広くないほうがいいと思っていて。実は見せ方にもっと可能性があるんじゃないかなと思うんですよね。そういう部分でも「M-1」との違いを出してみるとか。
井口 優勝した人がその後ちゃんと活躍できたらいいですよね。(お見送り芸人)しんいちはそのへんがうまいから、ZAZYと対立するとかバディ感を出してやっていますけど。ピン芸人って友達いない人が多いじゃないですか。
野田 そうなの?(笑)
飯塚 テレビは関係性のお笑いが主流だから、イジられるとか対立とかの構図が必要なんですよね。そういう意味で漫才は相方とのやり取りから関係性が見えるけど、ピン芸って“作品”だから、テレビへの転換が難しい。
井口 だから、とにかく友達ですよ。友達とラジオをやっとくとか。
飯塚 それは本当にあるかもね。どういう人なのか、説明してくれる人が必要。
野田 ラジオやっとくは一個手かもしれないな。ラジオって本当にみんな聴いてますよね。
井口 でも僕、ちょっとラジオに腹立つことがあって。
野田 ラジオに?
井口 ラジオを聴いている人に、ですね。テレビとか賞レースで芸人がスベったときに、ファンが「でもラジオ面白いから! ラジオ聴いて!」ってフォローする奴。そんなのは当たり前なんだよ! 芸人ってみんな面白いから、1時間フリートークしたら面白いに決まってる。テレビのあの短い隙間で面白いことを言えるかどうかと「ラジオ面白い」は全然話が違うから、テレビでスベったときの擁護に使わないでくれ! ……っていう話です。
飯塚 それで言うと井口くんとは逆のことなんだけど、僕は「ラジオの評価は別にされる問題」というのを考えていて。「好きな人多いよね」「好きな人が聴いてるんでしょ」みたいな、内輪のものだとされて、毎週ものすごいトークが面白くても実力として正当な評価が得られていないなと思う。でもラジオって、本当に雑談だけしてるファン向けのものもあるから「ラジオは……」と一括りにはできない部分もあるんだけど。
野田 マヂカルはラジオでオチのあるエピソードトークをしないんですよ。問題提起して終わり、とか。そこからどう広げていくかが“トーク力”なのかなと僕は思っていて。
井口 だから、全体の評価は低すぎるし、ファンの評価は高すぎるしっていうところですかね。
飯塚 あと「ラジオとポッドキャストが一緒にされてる問題」。
井口 確かに。もっとニッポン放送とかTBSラジオとかが、「我々こそがラジオなんだ」って言っていけばいいんじゃないですか?
──で、「R-1」の話の結論は……?
井口 「友達とラジオをやれ!」でいいんじゃないですか?(笑)
■ ネタはもっとサクッと見るものであるべき
飯塚 あと「吉住おもしろすぎ問題」っていうのがあって。
野田 なんですか? それは。
飯塚 吉住さんの単独ライブが毎年めちゃくちゃ面白いんですけど、「単独が面白い」ってあまり広がらないなと思っていて。それよりも、ライブの中で起きた“事件”のほうがSNSで話題になる。正しく面白いものが評価されるより、バズっているもののほうが価値が高くなっている風潮がある。
野田 そもそも「ネタが面白い」って一般の人はどのくらい興味があるんですかね?
飯塚 たぶん、「M-1で優勝した」とかは興味があると思うんですけど。
野田 「ネタが面白い」ってもうちょっとサクッとしたことであるべきだと思うんですよね。どう面白いかを解説するようになったから、お客さんからしたらそういう目で見なきゃいけないのかな?ってなる。
飯塚 じゃあ、お笑いを振り返っちゃってるこのライブがよくない?
野田 このライブがよくないですね!(笑) 解説がよくない。
井口 もっと定期的に観られるネタ番組があるといいんですかね。僕は昔「オンバト」を見て、「この人のネタ面白いな」って思っていましたけど、今は「水曜日のダウンタウン」(TBS)で起こる事件とかリアクションのほうが求められてる。
野田 下手したら、「M-1」もネタが盛り上げてる部分は3割くらいなのかもしれない。ほか7割は側(がわ)の話。賞レースですらネタでは盛り上がってない可能性がありますよね。
井口 本当に大変なのになー、ネタって。効率が悪い。
野田 アーティストだったら作曲者に印税とかが入るんだろうけど、ネタ書いてるほうに1円も入らないし、作ったことへの評価が本当にない。しかも、作ったことを主張しすぎると嫌われそうだし。
■ みんなの良いところを見つけていこう!
野田 (褒められない、褒められないと嘆く井口に)いや、井口はすごいと思うよ。1人の力が強いし、1人の力が強いわりにコンビのネタも強いし。実はここ最近の「M-1」チャンピオンの中で一番ごまかしがないんですよ。マヂカルラブリーは「最下位からの優勝」というドラマがあったし、錦鯉にはおじさん芸人のドラマがあった。でも、ウエストランドはそういうドラマもなく、ただの「ウエストランド」で優勝した。過去1回決勝に行っているのも条件としては最悪で。そういう意味で、チャンピオンとして純粋ですよね。
井口 (褒めを肴にビールをグビグビ飲んで)いやー、野田さんが言ってくれることに意味がありますね! いつも自分で言ってるだけなので(笑)。飯塚さんのことはどう思っているんですか?
野田 飯塚さんに思うのは、こんなにお笑いを知っていて芸人寄りなのに、よくテレビやっていけてるなって(笑)。いまだにライブの作家テンションでいられるのは、もはや怖いです。お笑い芸人に命救われてないとおかしいっていうくらい愛があるじゃないですか。
飯塚 いやいや(笑)。ちゃんと真ん中のこともやっている人間にならないと発言権がないんですよ。お笑いのことしかやっていないと「お笑いの人でしょ? はいはい、芸人くんね」ってなっちゃう。
野田 なるほど。まったく同じ意見です。
飯塚 だから野田さんに勝手にシンパシーを感じていて。「ヒルナンデス!」(日本テレビ)とかメジャーなこともやっているのは「誰かが橋渡ししないと」っていう使命感もあるのかなと思っていて。
井口 飯塚さんはよく言っていますよね、「野田さんはお笑い全体を考えてる」って。
野田 やっぱり、根本に「インディーズが好き」っていうのがあるんですよね。インディーズの中で「インディーズがいい」って言っていてもしょうがない。メジャーの中で「インディーズだ!」と言うのが意味があるから。
井口 そこは2人似てますよね。力を付けないと正しいことができないっていう、室井(慎次)理論。
飯塚 「踊る大捜査線」のね(笑)。
野田 「あちこちオードリー」(テレ東)でも言ったんですけど、「M-1」チャンピオンでこんなにもクリエイティブな要素が1個もない、プレイヤー一直線の人ってすごい珍しいから、井口が今後目指すべきはプレイヤー日本一かもね。今日井口を見ていて、「もっと言っていいんだ、自分の成したこと」って思った。自分はすごいと思ってるけど周りが全然言ってくれないことってめっちゃあるんですよ。
井口 そうですよ! あなたはすごいんですよ。2冠だし。
野田 じゃあ2冠に関して1個言わせてもらっていいですか? 粗品の2冠と俺の2冠は違うんですよ。俺は先に「R-1」獲ってるんですよ。粗品は「M-1」優勝してから「R-1」なんですよ。その差、わかります? 俺と粗品は違う! 誰かそれを言ってくれよ!
飯塚 あはははは(笑)。確かに、そっちのほうがすごい!
井口 「ゴールデンコンビ」でも優勝してる!
野田 もっと言ってくれ!
──そろそろ終わりのお時間です。
飯塚 結論は、「もっと褒めよう」ですね。
井口 みんなの良いところを見つけていきましょう!
■ プロフィール
□ 井口浩之(イグチヒロユキ)
1983年5月6日生まれ、岡山県出身。2008年、河本太(コウモトフトシ)とウエストランドを結成。2013年4月に「笑っていいとも!」(フジテレビ)のレギュラーに抜擢され、最終回まで不定期で出演した。2012年から2014年に「THE MANZAI」認定漫才師。「M-1グランプリ」では2020年に初の決勝進出を果たし、2022年に優勝! ラジオ形式の番組「ウエストランドのぶちラジ!」をYouTubeなどで配信中。とろサーモン久保田とのレギュラー番組「耳の穴かっぽじって聞け!」(テレビ朝日)は毎週火曜26:34~。タイタン所属。
□ 飯塚大悟(イイヅカダイゴ)
1982年4月13日生まれ、新潟県出身。テレビ、ラジオの構成作家。現在の担当番組は「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」「家事ヤロウ!!!」(テレビ朝日)、「水曜日のダウンタウン」「クレイジージャーニー」(TBS)、「ヒルナンデス!」(日本テレビ)、「オードリーのオールナイトニッポン」(ニッポン放送)など。書籍「深解釈 オールナイトニッポン~10人の放送作家から読み解くラジオの今~」(扶桑社)。
□ 野田クリスタル
1986年11月28日生まれ、神奈川県出身。中学時代にお笑い活動をスタート。2002年に同級生とのコンビ・セールスコントで「学校へ行こう!」(TBS系)の企画「お笑いインターハイ」に出場し、優勝した。2007年2月に村上(ムラカミ)とマヂカルラブリーを結成。2017年に「M-1グランプリ」決勝初進出するも、結果は10位。2020年に「R-1ぐらんぷり」王者となり、同年「M-1」でも優勝を果たした。近年は自身発案のジム「クリスタルジム」やゲームソフト「スーパー野田ゲー」シリーズにも力を入れている。
どこまで信じればいいかが難しいな・・・
やってもいないのに
レビューしてる人もいるだろうしね。
効果についてのレビューは、悪評はないみたい。
ほとんどが【怪しい】と考えてることが
前提の推測ばかり。
ただネットの商品って
詐欺が多いって聞くし
購入して、始めてみたいけど・・・
本当に悩むなー。