舞台『ハガレン』一色洋平・廣野凌大・眞嶋秀斗・蒼木陣・和田琢磨・吉田メタルインタビュー「生身の人間が演じるからこそ、体温の伝わる舞台にしたい」(アニメ!アニメ!)

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三間 貴也さん・・・

注目度が高い分、いろいろな噂もあるよね。

出典元:アニメ!アニメ!

2023年3月に大阪・東京にて上演される舞台「鋼の錬金術師」(通称:ハガレン)。原作は荒川弘先生によるマンガで、失った身体を取り戻そうとするエルリック兄弟の旅路が描かれた。

【フォト】キャスト6名の撮り下ろしフォトを見る

これまで何度もアニメ化などのメディアミックスが行われてきたが、舞台化は今回が初めて。キャストやスタッフが一丸となって、生の舞台ならではの「ハガレン」を生み出そうと稽古を重ねている。

今回はエドワード・エルリック役の一色洋平さんと廣野凌大さん、アルフォンス・エルリック役の眞嶋秀斗さん、ロイ・マスタング役の蒼木陣さんと和田琢磨さん、アレックス・ルイ・アームストロング役の吉田メタルさんにインタビューを実施。役へのこだわりや作品にかける熱い想いをうかがった。

[取材・文=ハシビロコ 撮影=吉野庫之介]

■出演が決定したときに感じた“嬉しさ”と“恐怖”
――役が決まったときの心境を教えてください。

眞嶋 もちろん嬉しかったですが、「本当に自分がアルフォンスを演じるのか」という恐怖感も強かったです。ただ、今回はスーツアクターの桜田航成さんがいらっしゃったので心強さも感じました。航成さんとは舞台で共演させていただいたことがあり、本当に熱くて頼りになる方で『ハガレン』への愛も強く、細かいところまで研究してくださいました。おかげで今は、航成さんとふたりでアルフォンスを演じよう、と思えています。

一色 「エド役に決まった」と連絡をもらったときはとてもドキドキして、そのときの昂揚や景色はこの先も一生思い出せそうです。そういう体験は珍しいので、とても幸せな経験をさせてもらっていると思いました。

でも数ヶ月後ぐらいにはだんだん実感がわいて、不安のピークがやってきたことを覚えています。まだ共演者のみなさんにも会えていないですし、情報解禁前なので誰にも相談できなくて。その一方で、舞台人としてしっかり役と作品を立ち上げよう、と不安を乗り越えた時期もありました。今は稽古で新たな課題が見えてきて立ち向かっている最中なので、いまだに気持ちには波があると思っています。

廣野 僕は役が決まった瞬間に「YES!」と喜びをかみしめて興奮しました。あと情報解禁後はやたら友達が増えた気がします(笑)。

一同 (笑)。

廣野 久しぶりに連絡をくれた人もたくさんいて、「みんな見に来いよ!」と思っています。絶対に後悔させませんし、度肝を抜いてやるつもりです。

吉田 僕はオファーをいただいたときにまだ「鋼の錬金術師」を知らなかったので、「アレックス・ルイ・アームストロング」で検索して出てきたビジュアルを見て驚きました。2.5次元舞台と聞いて、もっとスマートなイケメンを想像していたので(笑)。でも原作を読んでみると、気は優しくて力持ちな、とてもかっこいい役でした。「この役はほかの誰にもやらせたくない!」と思ったので、今は少しでもアームストロングの魅力を表現できるように頑張っています。

蒼木 役が決まったときは、自分では若すぎるのではないか、と率直に思いました。でも現場に入ってみたらみなさん愛のある方ばかりで、寄り添ってくださったので少しホッとして。周りに頼りながら立っているような大佐でもいいのかな、と思えました。キャストやスタッフ全員で軍部を作りあげていきます。

和田 僕はまだ「ハガレン」が舞台化されていなかったことに驚きました。高校時代から読んでいたマンガだったので、この作品に出演できてとても嬉しいです。共演者の方や演出家さんも普段の2.5次元舞台ではあまりご一緒しないような方々ばかりだったので、新しい渦のようなものを生み出せるのではないかとわくわくしました。

■「生身の人間が演じるよさ」を伝えたい
――演技で心がけていることや、役作りの苦労などを教えてください。

眞嶋 大切にしているのは、兄弟の関係性です。稽古場では兄さんの姿を常に見て、気持ちをしっかり受け取っています。稽古を重ねるたびに、兄さんへの想いも強まってきました。

また、自分ひとりではなく、周りの方々と一緒にアルを作っていくことも大切にしています。旅を支えてくれる素敵な大人たちがいるからこそ、兄弟が進んでいけると思うんです。稽古中もみなさんがとても優しく見守ってくださって、些細なことでもすぐに声をかけてくれます。まさに「ハガレン」らしい座組だなあ、と思います。

一色 参考にできる資料が山のようにある作品だからこそ、役作りに難しさを感じました。自分なりのエドを見つけなければ、という気持ちと、結局はどうアプローチしても自分が演じるエドにしかならないはずだ、という相反する気持ちがずっとせめぎ合っています。

しかも稽古序盤と中盤は余裕がまったくなくて、雑談すらできませんでした。休憩時間も「次のシーンはどうしてみようか」などと考えているうちに過ぎてしまって。でもエドは人が好きだと思うので、終盤の稽古では僕自身がもっと周りの方々と話して打ち解けたいと思っています。

あと絶対に必要なのは、生身の人間が演じるからこそ生まれる魅力。お客さんの目の前にいる演者は、手で触れれば体温があり、温かいはずです。血の通った人間が同じ空間で演じているからこそできる、舞台ならではの「ハガレン」を届けたいと思っています。

廣野 僕は常に新鮮に演じようと心がけています。八百屋さんに並ぶ野菜のように、選別をしたうえで、新鮮でベストな状態のものを届けたいです。

稽古場でだんだんとエドが身についてくると、新鮮味がないと成り立たなくなってしまう場面が多々ありました。だからこそ演じれば演じるほどパワフルに、みずみずしいエドになるように意識しています。役者として身体は慣れていかないといけませんが、気持ちはどこまでも新鮮にやらないと。(吉田)メタルさんをはじめ、大人のみなさんに見透かされてしまいます(笑)。目の前の役者さんに対して毎回新鮮に向き合うことが僕の誠意です。人に誠意を持って接するのも、エドワード・エルリックという人間の魅力だと思います。

蒼木 メタルさんは僕たちをよく見てくださっていますよね。

廣野 いつも助言をいただいています。こうして大人たちに支えられている部分も、いい意味でエドとリンクしていると感じました。

あとは役者としての魂と、エドとしての魂の棲み分けを大切にしています。エドとしては新鮮に、役者としては決められたことをクレバーにできたらな、と。まあ、口先だけではなんとでも言えるので、みなさんにはぜひ劇場で体感してもらえたら嬉しいです!

吉田 僕はこれまで、そこそこ大きな身体とポジションで生きてきましたが、今回ほど「もっと大きくなりたい」と思ったことはありません。出てきただけでみなさんを笑顔にできるようなあの大きさは、やっぱりうらやましいです。今はとにかくたくさん食べて寝て、減っていく成長ホルモンと戦いながら身体作りをしています(笑)。

もちろん身体だけでなく、人間力ももっと大きくなりたいです。「ハガレン」は人間くさい話なので、演技でもより人間味を出せるように日々励んでいます。

蒼木 僕も先日衣装合わせをしたときに、もっと肉体作りをしようと思いました。衣装を着たときに「もう少し胸筋があるほうがいいね」とスタッフのみなさんと話して。そのほうが上に立つ人間の威厳や強さのようなものが出ると思ったんです。僕自身の新しい課題としては、本番までに少しでも胸筋を付けたい。だからメタルさん、トレーニングに付き合ってください!

吉田 わかりました(笑)。

蒼木 ぜひ一緒に軍部トレーニングを! あと、演出の石丸さんが、細部まで演出をしてくださっているので、僕も信じてついていきたいと思っています。お芝居のことはもちろん、衣装や音ひとつに関しても「より生っぽいものを」とこだわっていらっしゃるんです。

ただ、当初感じた「自分では若すぎる」という気持ちは日々の課題としていまだに残っています。それでも石丸さんがさまざまな角度から言葉を伝えてくださるので、自分の中でかみ砕きながら日々戦っている状況です。

和田 ロイを演じるにあたり、僕自身もエルリック兄弟にいい刺激を与えられる人物でありたいと意識しました。マンガの冒険物語は主人公が周りに影響を与えていく作品と、周りから主人公が影響を受けて成長していく作品の2種類があると思います。「ハガレン」は後者のタイプなので、成長を後押しできる存在になりたいです。

また、通し稽古をして、本作では「人が何かに触れる」というシーンがとても印象的だと思いました。人や物に触れたときの感覚や、コロナ禍で遠くなってしまった人同士の距離感を近づけることにもこだわっているので、本作の裏テーマとして注目してほしいです。先ほど一色さんもおっしゃっていたように、体温を感じられるような作品にしていこうと思っています。

■見せつけ合うロイと、吸収し合うエド
――ダブルキャストのみなさんは、演技のすりあわせや事前の打ち合わせなどを行いましたか?

和田 僕らは全然打ち合わせをしていないです。お互いに「ふたりでひとつのキャラクターを作りあげていく」というタイプではないので、稽古場で初めて演技を見て「こう来たか! じゃあ僕はこうしてみよう!」と、いい意味で見せつけ合うようなやりとりをしています。石丸さんも僕たちの演技を細かくすり合わせるのではなく、「陣はこの演技で、琢磨はこれね」といくつも選択肢を与えてくださるので、のびのび演じられてありがたいです。

蒼木 そうですよね。寄り添って、個を尊重してくれる演出です。わざわざ演者の表現を縛ることのない方なので、それぞれが描くロイを持ち寄って演じています。

和田 もちろんセリフは一緒ですが、そのシーンの中できちんと成立していれば表現は個々に委ねられていました。だからこそ、アプローチのまったく違う2人のロイが見られるはずです。

廣野 僕らの場合は、お互いの稽古を見てパクっています(笑)。最低限共通させておくべき決め事はありましたが、いいところは吸収し合おうと思って。

一色 一度試してみると発見があるので、とりあえず好き嫌いをせずに食べています。すると改めてお互いの違いがわかって、「自分がやるならもっと工夫が必要だな」など勉強になるんです。ガチガチに共通認識を固めてはいませんが、悩んでいるところは話し合ってからシーンに臨んでいます。でも結局、ふたりとも出力の仕方が違っているのでおもしろいよね。

廣野 お互いに用意した材料は同じだけれど作る料理が違う、といった感じです。アルも航成さんを含めて2人いるので、4人で一緒にエルリック兄弟を作っています。

■二人三脚で演じるアルフォンスと……アームストロング?
――アルフォンスはスーツアクターとの共演という珍しい形式です。スーツアクターの桜田航成さんとはどのようなやりとりをしましたか?

眞嶋 とりあえずやってみる、という姿勢をお互いに大事にしています。最初は僕のほうが、この形態での芝居は難しいだろうな、と先入観を持っていました。その気持ちが演じにくさや、動きと声のちょっとしたズレにつながっていましたが、そうではなく航成さんと二人三脚で、アルフォンスという役を普通に演じて、普通に兄さんと会話すればいいのだと気づいてからは、意識が変わってきました。だから最初はお互いの演技をとりあえずやってみて確認し、一段階ずつ前に進んでいます。航成さんも気づいたことを動きに反映させてくださる方なので、とても演じやすいです。

――お2人でどのようなディレクションが行われているのでしょうか?

眞嶋 細かい部分でいうと、精神面でのゆらぎを表現するときや、リアクションの声は航成さんと何度も調整しました。動きと声のタイミングによって伝わり方が違うと思うので、このシーンは動き先行で、ここは声に合わせようなど、実験しながら稽古しています。2人の力で、アルというひとりの人間を作りあげられたらと思います。

――アームストロングは作中で登場人物たちを見守るような立ち位置でもあります。吉田さんご自身は、稽古場をどのように見守っていらっしゃるのでしょうか。

吉田 アームストロングと同様に、まずはエドとアル、そして自分の上司であるロイを好きになることを心がけました。

先ほども言ったように本作は人間くさい話で、舞台も人間力で成り立っています。こんな時代だからこそ体温や汗、生バンドの演奏といったアナログな人間味を出し切って、「必死に生きることはこんなにもかっこいいんだ!」と胸を張って最後まで演じたいです。言葉にはしていないものの、その気持ちはみんなの共通認識になっていると思います。

あと、僕もダブルキャストの草野大成くん(グラトニー役)と演技について話し合いました(笑)。

廣野 メタルさんはグラトニー役じゃないでしょ! 「グラトニーの演技どうする?」って話しているところ、一回も見たことないですよ!

吉田 こんな感じで和気あいあいとした楽しい座組です(笑)。

■旅の始まりから終わりまで、一緒に見届けてほしい
――最後に読者へのメッセージをお願いします。

和田 エドもロイもダブルキャストなので、ぜひ4通りの「ハガレン」を見てほしいです。お客さんが客席に入ってからもどんどん成長していく作品だと感じているので、ぜひ一度ならず何度も、さまざまな角度から楽しんでいただけたらと思います。

蒼木 難しい場面は映像に頼るという選択肢もある中で、あえて人間が演じているシーンがたくさんあります。バンドメンバーのみなさん、音響さん、照明さんなど、スタッフさん含め一丸となってひとつの作品を作りあげている座組です。そんな「全員演劇」をぜひ劇場で体感してください。

吉田 重たいけれど素敵な話なので、少しでも見やすくしてお客さんに伝えられるよう、残りの稽古に励むつもりです。演劇は足を運んでいただいてナンボなので、みなさんとお会いできることを楽しみにしています! 誰ひとり欠けることなく千秋楽を迎えたいです。

眞嶋 本作はさまざまなキャラクターに壁が立ちはだかりますが、それでも希望の光を見出していく物語です。明るい未来を感じられる、みなさんの心にも光が差すような作品にしたいと思っています。劇場で一緒に希望の光を見つけるようなステージにするので、楽しみにしていてください!

一色 石丸さんが稽古の序盤、コロナ禍で上演する可能性があるからこそ、録音された音楽ではなく生バンドが必要だとおっしゃっていたのが印象に残っています。客席と同じ空間にある楽器が鳴り、生の音がお客さんの耳に届くということが大事ではないか、と話していました。演劇はコロナ禍で特別なものになってしまったかもしれませんが、本来はもっと気軽に見に行けるもののはずです。「ハガレン」では生の舞台観劇が持つ普遍的でシンプルなよさも提示したいと思っています。ぜひ劇場でお会いしましょう!

廣野 僕らキャストもスタッフも「鋼の錬金術師」という作品を信じています。ぜひみなさんも作品を信じて、勘ぐりなしで見に来ていただければ、僕らが伝えたいものが100%伝わるはずです。とにかくみなさんに来ていただけることが、僕らの旅の第一歩。一緒に旅を始め、終わりまで付き合っていただけたらと思いますので、ぜひ劇場に来てください!

◆◆◆

舞台「鋼の錬金術師」は3月8日から12日まで大阪・新歌舞伎座で、3月17日から26日まで日本青年館ホールで上演予定。登場人物たちの身体から伝わってくる熱い想いと温もりを、ぜひ間近で体感してほしい。

また、DMM TVではキャストによる特別番組も配信される。舞台をより楽しめるような内容なので、観劇前後にチェックしてみてはいかがだろうか。

舞台『鋼の錬金術師』

原作 荒川弘(掲載「ガンガンコミックス」スクウェア・エニックス刊)
脚本・演出 石丸さち子
音楽監督 森 大輔
作詞 石丸さち子 作曲 森 大輔
美術 伊藤雅子 照明 日下靖順 音響効果 天野高志 音響 増澤 努 映像 O-beron inc.
舞台監督 今野健一 ヘアメイク 馮 啓孝 井村祥子 衣裳 渡邊礼子 小道具 羽鳥健一 殺陣 新田健太
演出助手 高野 玲 制作進行 麻田幹太 宣伝デザイン 山代政一 グッズデザイン 山代政一 石本寛絵
デザイン協力 石本茂幸 宣伝スタイリング 中西永人(JOE TOKYO) フォトグラファー TOBI

出演
エドワード・エルリック 役:一色洋平/廣野凌大(Wキャスト)
アルフォンス・エルリック 役:眞嶋秀斗
ウィンリィ・ロックベル 役:岡部 麟(AKB48)
ロイ・マスタング 役:蒼木 陣/和田琢磨 (Wキャスト) リザ・ホークアイ 役:佃井皆美
アレックス・ルイ・アームストロング 役:吉田メタル マース・ヒューズ 役:岡本悠紀
ジャン・ハボック 役:君沢ユウキ デニー・ブロッシュ 役:原嶋元久 マリア・ロス 役:瑞生桜子
ティム・マルコー 役:阿部 裕 ショウ・タッカー 役:大石継太 イズミ・カーティス 役:小野妃香里
ラスト 役:沙央くらま エンヴィー 役:平松來馬 グラトニー 役:草野大成
傷の男(スカー) 役:星 智也 ゾルフ・J・キンブリー 役:鈴木勝吾
ピナコ・ロックベル 役:久下恵美 グレイシア・ヒューズ 役:斉藤瑞季
ニーナ・タッカー 役:小川向日葵/尻引結馨(Wキャスト)
キング・ブラッドレイ 役:辰巳琢郎
真鍋恭輔 辻 大樹 田嶋悠理 三小田芳樹 榮 桃太郎 丸山雄也 野間理孔 島田隆誠
スーツアクター アルフォンス・エルリック 役:桜田航成
バンドメンバー Band Master & Key.:森 大輔 Gt.:オオニシユウスケ Ba.:熊代崇人 Dr.:守 真人

日程・劇場
【OSAKA】2023年3月8日(水)~3月12日(日) 新歌舞伎座
【TOKYO】2023年3月17日(金)~3月26日(日) 日本青年館ホール

チケット情報
<チケット代金>(前売・当日共/全席指定/税込)
グッズ付S席 12,000円 ※劇場にて特典として【限定グッズ(非売品)】をプレゼントします。
A席 9,000円 ※公演および各席種の詳細に関しましては、公式HPをご確認ください。
(C)荒川弘/SQUARE ENIX・舞台「鋼の錬金術師」製作委員会

あまり良くないレビューや悪評とかって
それが本当かどうか、ちょっとよくわかりません。

出典元:アニメ!アニメ!

2023年3月に大阪・東京にて上演される舞台「鋼の錬金術師」(通称:ハガレン)。原作は荒川弘先生によるマンガで、失った身体を取り戻そうとするエルリック兄弟の旅路が描かれた。

【フォト】キャスト6名の撮り下ろしフォトを見る

これまで何度もアニメ化などのメディアミックスが行われてきたが、舞台化は今回が初めて。キャストやスタッフが一丸となって、生の舞台ならではの「ハガレン」を生み出そうと稽古を重ねている。

今回はエドワード・エルリック役の一色洋平さんと廣野凌大さん、アルフォンス・エルリック役の眞嶋秀斗さん、ロイ・マスタング役の蒼木陣さんと和田琢磨さん、アレックス・ルイ・アームストロング役の吉田メタルさんにインタビューを実施。役へのこだわりや作品にかける熱い想いをうかがった。

[取材・文=ハシビロコ 撮影=吉野庫之介]

■出演が決定したときに感じた“嬉しさ”と“恐怖”
――役が決まったときの心境を教えてください。

眞嶋 もちろん嬉しかったですが、「本当に自分がアルフォンスを演じるのか」という恐怖感も強かったです。ただ、今回はスーツアクターの桜田航成さんがいらっしゃったので心強さも感じました。航成さんとは舞台で共演させていただいたことがあり、本当に熱くて頼りになる方で『ハガレン』への愛も強く、細かいところまで研究してくださいました。おかげで今は、航成さんとふたりでアルフォンスを演じよう、と思えています。

一色 「エド役に決まった」と連絡をもらったときはとてもドキドキして、そのときの昂揚や景色はこの先も一生思い出せそうです。そういう体験は珍しいので、とても幸せな経験をさせてもらっていると思いました。

でも数ヶ月後ぐらいにはだんだん実感がわいて、不安のピークがやってきたことを覚えています。まだ共演者のみなさんにも会えていないですし、情報解禁前なので誰にも相談できなくて。その一方で、舞台人としてしっかり役と作品を立ち上げよう、と不安を乗り越えた時期もありました。今は稽古で新たな課題が見えてきて立ち向かっている最中なので、いまだに気持ちには波があると思っています。

廣野 僕は役が決まった瞬間に「YES!」と喜びをかみしめて興奮しました。あと情報解禁後はやたら友達が増えた気がします(笑)。

一同 (笑)。

廣野 久しぶりに連絡をくれた人もたくさんいて、「みんな見に来いよ!」と思っています。絶対に後悔させませんし、度肝を抜いてやるつもりです。

吉田 僕はオファーをいただいたときにまだ「鋼の錬金術師」を知らなかったので、「アレックス・ルイ・アームストロング」で検索して出てきたビジュアルを見て驚きました。2.5次元舞台と聞いて、もっとスマートなイケメンを想像していたので(笑)。でも原作を読んでみると、気は優しくて力持ちな、とてもかっこいい役でした。「この役はほかの誰にもやらせたくない!」と思ったので、今は少しでもアームストロングの魅力を表現できるように頑張っています。

蒼木 役が決まったときは、自分では若すぎるのではないか、と率直に思いました。でも現場に入ってみたらみなさん愛のある方ばかりで、寄り添ってくださったので少しホッとして。周りに頼りながら立っているような大佐でもいいのかな、と思えました。キャストやスタッフ全員で軍部を作りあげていきます。

和田 僕はまだ「ハガレン」が舞台化されていなかったことに驚きました。高校時代から読んでいたマンガだったので、この作品に出演できてとても嬉しいです。共演者の方や演出家さんも普段の2.5次元舞台ではあまりご一緒しないような方々ばかりだったので、新しい渦のようなものを生み出せるのではないかとわくわくしました。

■「生身の人間が演じるよさ」を伝えたい
――演技で心がけていることや、役作りの苦労などを教えてください。

眞嶋 大切にしているのは、兄弟の関係性です。稽古場では兄さんの姿を常に見て、気持ちをしっかり受け取っています。稽古を重ねるたびに、兄さんへの想いも強まってきました。

また、自分ひとりではなく、周りの方々と一緒にアルを作っていくことも大切にしています。旅を支えてくれる素敵な大人たちがいるからこそ、兄弟が進んでいけると思うんです。稽古中もみなさんがとても優しく見守ってくださって、些細なことでもすぐに声をかけてくれます。まさに「ハガレン」らしい座組だなあ、と思います。

一色 参考にできる資料が山のようにある作品だからこそ、役作りに難しさを感じました。自分なりのエドを見つけなければ、という気持ちと、結局はどうアプローチしても自分が演じるエドにしかならないはずだ、という相反する気持ちがずっとせめぎ合っています。

しかも稽古序盤と中盤は余裕がまったくなくて、雑談すらできませんでした。休憩時間も「次のシーンはどうしてみようか」などと考えているうちに過ぎてしまって。でもエドは人が好きだと思うので、終盤の稽古では僕自身がもっと周りの方々と話して打ち解けたいと思っています。

あと絶対に必要なのは、生身の人間が演じるからこそ生まれる魅力。お客さんの目の前にいる演者は、手で触れれば体温があり、温かいはずです。血の通った人間が同じ空間で演じているからこそできる、舞台ならではの「ハガレン」を届けたいと思っています。

廣野 僕は常に新鮮に演じようと心がけています。八百屋さんに並ぶ野菜のように、選別をしたうえで、新鮮でベストな状態のものを届けたいです。

稽古場でだんだんとエドが身についてくると、新鮮味がないと成り立たなくなってしまう場面が多々ありました。だからこそ演じれば演じるほどパワフルに、みずみずしいエドになるように意識しています。役者として身体は慣れていかないといけませんが、気持ちはどこまでも新鮮にやらないと。(吉田)メタルさんをはじめ、大人のみなさんに見透かされてしまいます(笑)。目の前の役者さんに対して毎回新鮮に向き合うことが僕の誠意です。人に誠意を持って接するのも、エドワード・エルリックという人間の魅力だと思います。

蒼木 メタルさんは僕たちをよく見てくださっていますよね。

廣野 いつも助言をいただいています。こうして大人たちに支えられている部分も、いい意味でエドとリンクしていると感じました。

あとは役者としての魂と、エドとしての魂の棲み分けを大切にしています。エドとしては新鮮に、役者としては決められたことをクレバーにできたらな、と。まあ、口先だけではなんとでも言えるので、みなさんにはぜひ劇場で体感してもらえたら嬉しいです!

吉田 僕はこれまで、そこそこ大きな身体とポジションで生きてきましたが、今回ほど「もっと大きくなりたい」と思ったことはありません。出てきただけでみなさんを笑顔にできるようなあの大きさは、やっぱりうらやましいです。今はとにかくたくさん食べて寝て、減っていく成長ホルモンと戦いながら身体作りをしています(笑)。

もちろん身体だけでなく、人間力ももっと大きくなりたいです。「ハガレン」は人間くさい話なので、演技でもより人間味を出せるように日々励んでいます。

蒼木 僕も先日衣装合わせをしたときに、もっと肉体作りをしようと思いました。衣装を着たときに「もう少し胸筋があるほうがいいね」とスタッフのみなさんと話して。そのほうが上に立つ人間の威厳や強さのようなものが出ると思ったんです。僕自身の新しい課題としては、本番までに少しでも胸筋を付けたい。だからメタルさん、トレーニングに付き合ってください!

吉田 わかりました(笑)。

蒼木 ぜひ一緒に軍部トレーニングを! あと、演出の石丸さんが、細部まで演出をしてくださっているので、僕も信じてついていきたいと思っています。お芝居のことはもちろん、衣装や音ひとつに関しても「より生っぽいものを」とこだわっていらっしゃるんです。

ただ、当初感じた「自分では若すぎる」という気持ちは日々の課題としていまだに残っています。それでも石丸さんがさまざまな角度から言葉を伝えてくださるので、自分の中でかみ砕きながら日々戦っている状況です。

和田 ロイを演じるにあたり、僕自身もエルリック兄弟にいい刺激を与えられる人物でありたいと意識しました。マンガの冒険物語は主人公が周りに影響を与えていく作品と、周りから主人公が影響を受けて成長していく作品の2種類があると思います。「ハガレン」は後者のタイプなので、成長を後押しできる存在になりたいです。

また、通し稽古をして、本作では「人が何かに触れる」というシーンがとても印象的だと思いました。人や物に触れたときの感覚や、コロナ禍で遠くなってしまった人同士の距離感を近づけることにもこだわっているので、本作の裏テーマとして注目してほしいです。先ほど一色さんもおっしゃっていたように、体温を感じられるような作品にしていこうと思っています。

■見せつけ合うロイと、吸収し合うエド
――ダブルキャストのみなさんは、演技のすりあわせや事前の打ち合わせなどを行いましたか?

和田 僕らは全然打ち合わせをしていないです。お互いに「ふたりでひとつのキャラクターを作りあげていく」というタイプではないので、稽古場で初めて演技を見て「こう来たか! じゃあ僕はこうしてみよう!」と、いい意味で見せつけ合うようなやりとりをしています。石丸さんも僕たちの演技を細かくすり合わせるのではなく、「陣はこの演技で、琢磨はこれね」といくつも選択肢を与えてくださるので、のびのび演じられてありがたいです。

蒼木 そうですよね。寄り添って、個を尊重してくれる演出です。わざわざ演者の表現を縛ることのない方なので、それぞれが描くロイを持ち寄って演じています。

和田 もちろんセリフは一緒ですが、そのシーンの中できちんと成立していれば表現は個々に委ねられていました。だからこそ、アプローチのまったく違う2人のロイが見られるはずです。

廣野 僕らの場合は、お互いの稽古を見てパクっています(笑)。最低限共通させておくべき決め事はありましたが、いいところは吸収し合おうと思って。

一色 一度試してみると発見があるので、とりあえず好き嫌いをせずに食べています。すると改めてお互いの違いがわかって、「自分がやるならもっと工夫が必要だな」など勉強になるんです。ガチガチに共通認識を固めてはいませんが、悩んでいるところは話し合ってからシーンに臨んでいます。でも結局、ふたりとも出力の仕方が違っているのでおもしろいよね。

廣野 お互いに用意した材料は同じだけれど作る料理が違う、といった感じです。アルも航成さんを含めて2人いるので、4人で一緒にエルリック兄弟を作っています。

■二人三脚で演じるアルフォンスと……アームストロング?
――アルフォンスはスーツアクターとの共演という珍しい形式です。スーツアクターの桜田航成さんとはどのようなやりとりをしましたか?

眞嶋 とりあえずやってみる、という姿勢をお互いに大事にしています。最初は僕のほうが、この形態での芝居は難しいだろうな、と先入観を持っていました。その気持ちが演じにくさや、動きと声のちょっとしたズレにつながっていましたが、そうではなく航成さんと二人三脚で、アルフォンスという役を普通に演じて、普通に兄さんと会話すればいいのだと気づいてからは、意識が変わってきました。だから最初はお互いの演技をとりあえずやってみて確認し、一段階ずつ前に進んでいます。航成さんも気づいたことを動きに反映させてくださる方なので、とても演じやすいです。

――お2人でどのようなディレクションが行われているのでしょうか?

眞嶋 細かい部分でいうと、精神面でのゆらぎを表現するときや、リアクションの声は航成さんと何度も調整しました。動きと声のタイミングによって伝わり方が違うと思うので、このシーンは動き先行で、ここは声に合わせようなど、実験しながら稽古しています。2人の力で、アルというひとりの人間を作りあげられたらと思います。

――アームストロングは作中で登場人物たちを見守るような立ち位置でもあります。吉田さんご自身は、稽古場をどのように見守っていらっしゃるのでしょうか。

吉田 アームストロングと同様に、まずはエドとアル、そして自分の上司であるロイを好きになることを心がけました。

先ほども言ったように本作は人間くさい話で、舞台も人間力で成り立っています。こんな時代だからこそ体温や汗、生バンドの演奏といったアナログな人間味を出し切って、「必死に生きることはこんなにもかっこいいんだ!」と胸を張って最後まで演じたいです。言葉にはしていないものの、その気持ちはみんなの共通認識になっていると思います。

あと、僕もダブルキャストの草野大成くん(グラトニー役)と演技について話し合いました(笑)。

廣野 メタルさんはグラトニー役じゃないでしょ! 「グラトニーの演技どうする?」って話しているところ、一回も見たことないですよ!

吉田 こんな感じで和気あいあいとした楽しい座組です(笑)。

■旅の始まりから終わりまで、一緒に見届けてほしい
――最後に読者へのメッセージをお願いします。

和田 エドもロイもダブルキャストなので、ぜひ4通りの「ハガレン」を見てほしいです。お客さんが客席に入ってからもどんどん成長していく作品だと感じているので、ぜひ一度ならず何度も、さまざまな角度から楽しんでいただけたらと思います。

蒼木 難しい場面は映像に頼るという選択肢もある中で、あえて人間が演じているシーンがたくさんあります。バンドメンバーのみなさん、音響さん、照明さんなど、スタッフさん含め一丸となってひとつの作品を作りあげている座組です。そんな「全員演劇」をぜひ劇場で体感してください。

吉田 重たいけれど素敵な話なので、少しでも見やすくしてお客さんに伝えられるよう、残りの稽古に励むつもりです。演劇は足を運んでいただいてナンボなので、みなさんとお会いできることを楽しみにしています! 誰ひとり欠けることなく千秋楽を迎えたいです。

眞嶋 本作はさまざまなキャラクターに壁が立ちはだかりますが、それでも希望の光を見出していく物語です。明るい未来を感じられる、みなさんの心にも光が差すような作品にしたいと思っています。劇場で一緒に希望の光を見つけるようなステージにするので、楽しみにしていてください!

一色 石丸さんが稽古の序盤、コロナ禍で上演する可能性があるからこそ、録音された音楽ではなく生バンドが必要だとおっしゃっていたのが印象に残っています。客席と同じ空間にある楽器が鳴り、生の音がお客さんの耳に届くということが大事ではないか、と話していました。演劇はコロナ禍で特別なものになってしまったかもしれませんが、本来はもっと気軽に見に行けるもののはずです。「ハガレン」では生の舞台観劇が持つ普遍的でシンプルなよさも提示したいと思っています。ぜひ劇場でお会いしましょう!

廣野 僕らキャストもスタッフも「鋼の錬金術師」という作品を信じています。ぜひみなさんも作品を信じて、勘ぐりなしで見に来ていただければ、僕らが伝えたいものが100%伝わるはずです。とにかくみなさんに来ていただけることが、僕らの旅の第一歩。一緒に旅を始め、終わりまで付き合っていただけたらと思いますので、ぜひ劇場に来てください!

◆◆◆

舞台「鋼の錬金術師」は3月8日から12日まで大阪・新歌舞伎座で、3月17日から26日まで日本青年館ホールで上演予定。登場人物たちの身体から伝わってくる熱い想いと温もりを、ぜひ間近で体感してほしい。

また、DMM TVではキャストによる特別番組も配信される。舞台をより楽しめるような内容なので、観劇前後にチェックしてみてはいかがだろうか。

舞台『鋼の錬金術師』

原作 荒川弘(掲載「ガンガンコミックス」スクウェア・エニックス刊)
脚本・演出 石丸さち子
音楽監督 森 大輔
作詞 石丸さち子 作曲 森 大輔
美術 伊藤雅子 照明 日下靖順 音響効果 天野高志 音響 増澤 努 映像 O-beron inc.
舞台監督 今野健一 ヘアメイク 馮 啓孝 井村祥子 衣裳 渡邊礼子 小道具 羽鳥健一 殺陣 新田健太
演出助手 高野 玲 制作進行 麻田幹太 宣伝デザイン 山代政一 グッズデザイン 山代政一 石本寛絵
デザイン協力 石本茂幸 宣伝スタイリング 中西永人(JOE TOKYO) フォトグラファー TOBI

出演
エドワード・エルリック 役:一色洋平/廣野凌大(Wキャスト)
アルフォンス・エルリック 役:眞嶋秀斗
ウィンリィ・ロックベル 役:岡部 麟(AKB48)
ロイ・マスタング 役:蒼木 陣/和田琢磨 (Wキャスト) リザ・ホークアイ 役:佃井皆美
アレックス・ルイ・アームストロング 役:吉田メタル マース・ヒューズ 役:岡本悠紀
ジャン・ハボック 役:君沢ユウキ デニー・ブロッシュ 役:原嶋元久 マリア・ロス 役:瑞生桜子
ティム・マルコー 役:阿部 裕 ショウ・タッカー 役:大石継太 イズミ・カーティス 役:小野妃香里
ラスト 役:沙央くらま エンヴィー 役:平松來馬 グラトニー 役:草野大成
傷の男(スカー) 役:星 智也 ゾルフ・J・キンブリー 役:鈴木勝吾
ピナコ・ロックベル 役:久下恵美 グレイシア・ヒューズ 役:斉藤瑞季
ニーナ・タッカー 役:小川向日葵/尻引結馨(Wキャスト)
キング・ブラッドレイ 役:辰巳琢郎
真鍋恭輔 辻 大樹 田嶋悠理 三小田芳樹 榮 桃太郎 丸山雄也 野間理孔 島田隆誠
スーツアクター アルフォンス・エルリック 役:桜田航成
バンドメンバー Band Master & Key.:森 大輔 Gt.:オオニシユウスケ Ba.:熊代崇人 Dr.:守 真人

日程・劇場
【OSAKA】2023年3月8日(水)~3月12日(日) 新歌舞伎座
【TOKYO】2023年3月17日(金)~3月26日(日) 日本青年館ホール

チケット情報
<チケット代金>(前売・当日共/全席指定/税込)
グッズ付S席 12,000円 ※劇場にて特典として【限定グッズ(非売品)】をプレゼントします。
A席 9,000円 ※公演および各席種の詳細に関しましては、公式HPをご確認ください。
(C)荒川弘/SQUARE ENIX・舞台「鋼の錬金術師」製作委員会

ネットの評判や噂って
実際のところどうなんだろう?

正直、ノウハウに興味あるから気になります。

わたしが気になっているのはコレ・・・

こんなに簡単に効果がでるんなら
すぐにでもやってみたい気がするんですよね。

評判や口コミどおりに効果あるなら
嬉しいけど・・・。

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